栄枝慶樹 KEIKI SAKAEDA

株式会社DIAMOND ALLIANS 代表取締役

心の距離を演出するスタジアム

どのようにすればファンが試合に入り込めるのか?つまりどうすれば人の心を揺さぶる、ワクワクさせることが出来るのか?その為にはどのような演出をしなければならないのか?

もちろん最大のコンテンツは選手による試合でのドラマですが、そのドラマをどう演出し切るかを一切手を抜くことなく考え抜くことが重要なのです。

演出にもハード面とソフト面があります。ソフト面は「メディアコントロール」という言い方をしており映像・音楽・スクリーンの配置・花火などが色々あります。そちらはまた書くことにして、これまでの流れ通りハード面のスタジアム設計による演出を伝えます。


まずは選手やフィールドとの距離感です。

単純に近いといっても席が遠ければ遠いわけですが、どのスタジアムも極力フィールドと同じ目線の薄い傾斜で観客席を作りたいそうです。そうすることで遠い席でも近く感じることが出来る。確かに色々なスタジアムで色々なシートに座ってみましたが、そのような錯覚に確かに陥りました。写真のドジャースタジアム・エンゼルスタジアム・Banc of Californiaスタジアムも、やっぱり近い!!!

アスリートとの距離感を近づけるには、やはり心の部分を近づけること。それは選手の「人となり」や「選手の行動」を感じてもらうことにあります。選手が試合を見る際のカウンターベンチはわざと観客席から見えるように前に出ています。ベンチの1人1人の選手の反応を見て「可愛い」とか、ガッツポーズで一緒に戦っている気持ちになります。大谷選手は写真のように1人だけ1つ裏に座って椅子を抱きかかえていました。なんか可愛い。。笑

野球場ではブルペンがエンゼルススタジアムもドジャースタジアムも観客席の中にあります。投球している姿に限らず、出番を待っている投手や、投手間での絡みなども「人となり」を感じます。エンゼルスタジアムは、味方と敵でブルペンが真横に作られていて、それもまた面白いです。

アメフトのUSCとRAMSでは、ロッカールームからカメラ映像が入り、チームが円陣を組みながら吠えて出てくる様子までライブでスクリーンに映し出され、登場する花道レッドカーペットが見えるようなスタジアムの創りになっています。野球のブルペンからの登場など、今から戦いに向こう戦士達の温度を感じ、こちらも熱くなって行くわけです。

LAFCでも登場のカーペットが観客席に設けられていたり、試合後の興奮冷めやらぬ記者会見がガラス張りで見える演出になっています。

距離というよりも、「距離感」、人の心の距離を逆算した設計ということに感銘を受けたわけです。

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